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ほんの数行の短い文章と、色鉛筆やクレヨンで描かれた温かく柔らかい絵に
これほど泣かされるとは思ってもみなかった。
「もうじきたべられるぼく」
絵本で泣くのは2度目だ。
最初は子どもたちがまだ小さかった頃、子守唄がわりに読んだ絵本のなかにあった
「100万回いきたねこ」
胸の奥がポっと火が灯ったような感じがして涙腺がゆるんだ。
あぁ、良かったね。
そんな言葉が浮かんだ気がした。
「もうじきたべられるぼく」
これはもう、話の途中から溢れた涙はポロポロと止まらず、
本をとじてから号泣した。
いろんな感情がないまぜになり、整理がつかない。
おかあさんに会いにいくぼくが、いじらしくて、せつなくて、儚くて悲しい。
盲目のピアニスト、辻井伸行さんは幼い頃からお母さんと美術館へ行っていたそうです。
絵についてたくさん説明してくれて、美しいものを心の眼で感じられるようになったのはお母さんの影響だと。
眼は見えなくても心の目は見えているので満足している。
だから、今から見えるようになりたいとは思わないよ。
ボクは眼が見えなくてもいいんだけど、もし一瞬だけでも目が見えるなら
お母さんの顔が見たい