東京国立博物館創立150周年記念特別展
「国宝 東京国立博物館のすべて」
コレは必ず行かなければ、と夏の暑い盛りにホテルと飛行機を予約した。
まとまった日数がとれるのは半年近く先になる。
体調を整え、慣れない筋トレに励み、ひたすらその日を待ち続けた。
チケットは時期ごとに発売日がちがう。
ホテルや飛行機の予約は夏にしたけれど、チケット購入は寒くなってからだ。
チケット発売開始のまさにその時、目の前が真っ暗になった。
希望の日時のチケットが取れない。
仕方がない、他の日に•••取れない。
SNSにはチケット取れない話があふれかえる。
コンビニの方が取りやすいかも、というのを見てひた走るが徒労に終わる。
3日くらいかけてゆっくり見に行こうなんて儚い夢だった。
あと10年、あるいは50年長生きしなさいという神様の思し召しかと諦めた。
その代わり、10月に丸の内に移転したばかりの静嘉堂文庫美術館、国立科学博物館、国立西洋美術館、森アーツセンターギャラリーと日替わりで見て回ったよ。
富樫義博展はHUNTER×HUTERを中心に、西洋美術館は常設展を。
科学博物館は「毒」の展示が見たくて、どれも楽しめた。
でもね、圧倒的だったのは静嘉堂文庫の「曜変天目」
写真や映像で見たことはあったけれど、実物をみるのは初めてだった。
薄暗い展示室の中でひときわ妖しい輝きを放っていた。
小碗の中の大宇宙とはこのことか
片手に収まりそうなほどの小ぶりの茶碗の内側には、壮大な宇宙が広がっていた。
円陣を組むように固唾を呑んで魅入っていた大人たちの足元で
「うわぁぁ、すいこまれるぅぅ」
可愛い声があがって、それまで張り詰めていた空気が緩む。
年少さんくらいの男の子が、このお茶碗でゴハンを食べたいと母親にせがんでいた。
国宝展では特に刀剣が見たかった。
ガラス越しの刀剣鑑賞は中腰になることが多いので、スクワットに挑戦して対策していた。
いつになく健康管理も頑張ったから、ここ数ヶ月は体調万全だった。
コレをあと10年は続けなさいね、ということなのかしら。
200周年までは待てそうにないので、150周年の次は160周年であってほしい。
個人的には151周年でもかまわない。
静嘉堂文庫美術館には毎年訪れたい。
東博の国宝展を逃して悲しむ私を全力で慰めてくれた「曜変天目」に心から感謝している。