静謐な美しさの中に凛とした強さを感じさせる女性たちに会いたくて、大阪中之島美術館を訪れました。
生誕150年記念、上村松園展《求めたのは理想像》
「美しいものだけでなく、醜いものでも下賤なものでも、それを露骨に顕さず格調を持って表現している芸術は能の他にはない。画もそうでなくてはならない」
狂気をよびこむほどの感情さえ美しく表現してしまう、懐の深さと強さを併せ持つ日本画家、それが上村松園です。
彼女が描いた女性たちは、美しい衣装を身にまといながらも憂いを帯び、あるいは眦をあげ、さらにはすべてを包み込んで前を向く強さを秘めています。
かくありたいものだと、うっとり眺めておりました。
そして、京都生まれ京都育ちの松園が描く数多の着物はまさに当時のトップモード。
着物と帯のコーディネートは言うに及ばず、半襟、襦袢、果ては鼻緒の色までチェックして小声で同行者と確かめ合う始末。当時としてはかなりモダンな組み合わせもあり、縞ではなくストライプにしか見えないね、などとこっそり盛り上がっておりました。
生誕150年記念展だけに多くの作品が展示されていましたが、ひとつだけ
題名と画が合わないもの
それは清少納言。
可愛い、可愛すぎる。清少納言をこんなに可愛く描いちゃダメでしょ、ってくらいの愛らしさ。
香炉峰の雪いかならん、と言われて御簾を巻き上げるところなのだろうけれど•••可愛くて愛らしいことこの上ない。
もし、「お好きなものをなにかひとつどうぞ」といわれたなら、一も二もなく愛らしい清少納言を頂戴します。
今季の袷はこの日が最後。次に出かけるときは単衣だわね、と言いながらチケット売り場に向かったら、細身のお兄さんがおもむろに迎え出てくださって
「上村松園にお出でですか?着物割引がありますのでこちらへどうぞ」
と、恭しく案内してくれました。
生誕150年記念 上村松園展へはお着物でお出かけになることをオススメいたします。