ある日突然、友人を失ったことがある。
喧嘩したわけでも絶交を宣言されたわけでもなく
おしゃべりに花を咲かせてランチを楽しんだ数日後に。
「またランチしよう。
来年は温泉にも行きたいね。」
そんなメールを残して、
ひとりで遠いところに逝ってしまった。
幼い子供たちと最愛の旦那様を残して。
他愛のない会話が楽しくて、彼女とのランチはついつい長くなっていた。
「次はどこでゴハンしようか?
温泉行きたいね、どこの温泉がいいかなぁ?」
いつも必ず出る話題。
いつもと変わらない声と笑顔。
こんなふうに、ずっと続くと思っていた。
お互いの子供たちが大きくなって、私達がおばあさんになっても
ずっとこうやって孫のことや美味しいものと温泉の話をしながら笑っていると思っていた。
なのに、ある日突然
プツリと途切れてしまった彼女との時間。
行き場のない言葉と感情。
やりきれなくて、せつなくて、どうにもできない無力感でいっぱいになった。
それから十数年、彼女は夢枕にたつこともなく
ながい時間が、少しづつ彼女の影を透きとおるように薄くしていった。
それが、数日前
家中のモノというモノすべてがガタガタと音をたてるような地震がきて
アタマの中は
大切な人に会えなくなってしまうかも知れない恐怖でいっぱいになった。
ずっと続くと思っていたコトがプツリと途切れてしまう。
なんの疑いもなく、じゃあまたね、と手を振った姿が最後になってしまう。
そんな考えに押しつぶされそうになった。
日常の中に突然割り込んでくるコトは
日頃の行いや努力でどうにかなるものではないから
防ぐことも拒絶することもできないから
逃げることも避けることもできないから
だから
会いたい、と思った人には
会いたい、と思ったときに会っておこう。
そのうちいつか、なんて先延ばしにしていたら
もう二度と会えなくなってしまうかも知れない
やりたいことは、やりたいと思った時に
行きたいところへは、行きたいと思った時に
そして、会いたい人には
会いたいと思った時に会いに行く。
アノトキ、ソウシテオケバヨカッタ・・・
そんな後悔はしたくない。