1986年にはポン酢をフリフリ「幸せってなんだっけ」と歌い、
1993年カクテルバーの「愛だろ、愛っ」
そして1994年のオールド「恋は、遠い日の花火ではない」。
バブル期は1986年から1991年と言われている。
でもね、そんなものはある日突然ジャンっ!と始まり、
ある日突然プツンっ!と終わったわけではない。
始まりはともかく、いつまでも終わりを認めることができないでいた人は多かった。
「トップガン」「ダイ・ハード」「ターミネーター」
ちょうどその頃、海の向こうではチカラワザでゴリゴリに押していくような映画が流行っていた。いや、あの国はいつの時代もチカラで押していく系が得意だわ。
豪華絢爛、百花繚乱、狂喜乱舞、酒池肉林のバブル期に日本にいなかった私は、
残念ながら海の外から眺めているだけだった。
それはまるで、天岩戸にこもった天照大御神を引きずり出すために
踊り狂っているトランス状態のお祭り騒ぎのよう。
ちょっぴり羨ましくもあったけど、渦中にいたらどうなっていただろう。
巷ではピンクドンペリの栓が勢い良く抜かれ、
ブランド物のプレゼントが飛びかっていた。
ティファニーのオープンハートはプレゼントの定番だったけど、
そんな贈り物が、どういうわけか質屋にも積み上がったらしい。
あの頃の日本人のアタマの中ではいろんな数字がインフレしていった。
地価も金利も給料も全て上っていくものだと思い込んでイケイケ絶好調。
そう見えた人は多かったし、そう信じたかった人はもっと多かっただろう。
だけど、その頃のCMコピーは、どういうわけだか「幸せ」を探し、
見つからない「愛」を謳っていた。
どこかで、気がついていたんじゃないの?
なにかがおかしい。
なにか、かみあっていない、って。
見て見ないフリしていただけで、本当は「誰か止めて!」って思っていたんじゃない?
バブル期を経験して臆病になり、
ITバブルを経験して諦めることに慣れてしまった。
あの頃、アタマの中で膨張していた数字は露と消えて、
モノなんてあっという間に跡形もなく消えてしまうことを知った。
そう、モノは所詮モノなのよ。
2004年、モノより思い出。
すんなりと入ってきたコピーは、
ずっとアタマの中でリフレインしている。